2023.10.05
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第11戦ポルトガルラウンドが、9月29日~10月1日、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われた。「ワールド・スーパースポーツ・チャレンジ」として2023年シーズンに臨んだ岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)にとっては、このポルトガルラウンドが今季最後のラウンドである。
初日最初のセッション、フリープラクティス1はいいフィーリングでの走り出しとなったが、フリープラクティス2は4周を走ったところで転倒を喫する。このクラッシュによりマシンの修復に時間をとられ、出遅れたことがあとに響いた。
転倒の原因は、レコードラインを外してゼブラゾーンでバンクした状態でのブレーキングとなったことだ。岡谷自身のミスでもあったが、同時にこの転倒の背景には、岡谷が苦しみ続けていたマシンとのマッチングもひとつの要因としてあった。狙ったところにマシンを持っていけず、結果的に今回の転倒につながったのだ。
スーパーポール(予選)では、ほぼ目標に近いタイムを記録して28番手。土曜日のレース1は後半に前の集団に離されてしまい、25位でゴールした。そして日曜日のレース2は、マシンのセッティングミスによりリヤタイヤのグリップが全くなく、苦しいレースを25位で終えた。岡谷はWSSPステップアップ1年目のシーズン最後のレースを、ともに25位という結果で締めくくったのだった。
WSSPにステップアップした2023年は、自分のタイムに適応していないマシンでの走りを強いられた。フリープラクティスでのマシントラブルもあった。1戦1戦のなかで、ライバルたちは初日からレースに向けて改善し、速さを増していく。シーズン全体としても同じことで、そうした1戦1戦の積み重ねによって、ポルトガルラウンドのようなシーズン終盤には成熟しているのが常だ。一方、岡谷は1戦ごとにトラブルや転倒によって出遅れ、満足に走れたウイークがあまりなく、臨むようなマシンの改善が出来ずライバルのライダーたちとの差が開いてしまう苦しいシーズンだった。
・岡谷雄太コメント
「フリープラクティス1はいい感触で進んでいたのですが、フリープラクティス2序盤で転倒してしまい、バイクを壊して時間を失ってしまいました。今回はそれが痛かったですね。 2023年シーズンはWSSPに上がったからこそ見えた景色があったので、ステップアップできてよかったな、と思いました。その反面、上がったからには結果を出したかったです。悩んだ分、成長した部分もありました。それが結果につながらなかったのは残念ですが、チームと一丸となってうまくステップを踏んでいかないと届かない部分だったと思います。来年はまた新しい環境で、結果につなげたいと思っています」
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2023.9.28
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第10戦アラゴンラウンドが、9月22日~24日、スペインのモーターランド・アラゴンで行われた。前戦フランスラウンドで2023年シーズンのなかでもベストな週末を過ごした岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)は、自信とともにシーズン終盤のラウンドとなるアラゴンに乗り込んだ。
だが、実際は初日から苦戦を強いられることになる。スーパーポール(予選)では持てる力の全てを投入した渾身のアタックだったが、岡谷とチームとしては悪くない内容だったが、手ごたえがリザルトにつながらない状況だった。
苦戦の理由には、カワサキにとってモーターランド・アラゴンとの相性があまりよくない、ということが一つにあった。岡谷としてはコーナーの立ち上がりがうまくまとまらず、加速でライバルたちに後れを取った。また、機能させられるタイヤも限られており、マシンの幅の狭さにも苦しめられることになった。
レース1では後方グループでのバトルとなり、24位。さらに、日曜日朝のウオームアップではクラッチのトラブルが発生し、ブレーキングでマシンを止めきれない症状が出た。レース2ではその症状は改善されたが、全力を尽くしても思うように順位を上げることができず、こちらも24位でゴール。コースレイアウトとマシンの相性に翻弄されたレースウイークとなった。
次戦の第11戦ポルトガルラウンドはアラゴンラウンドに連戦で、9月29日から10月1日にかけて、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われる。WSSPルーキーの今季、「ワールドスーパースポーツ・チャレンジ」として参戦する岡谷にとって、次戦が2023年シーズン最終戦となる予定だ。
・岡谷雄太コメント
「カワサキ車は全体的に厳しい週末でした。僕個人としてはコーナーの立ち上がりが決まらず、加速でついていくことができなくて、非常に厳しかったです。他車に抜かれても、全然ついていけませんでした。タイヤでもフィーリングがいいコンパウンドが限られていて、バイクの幅が狭いと感じていました。ただ、正直なところ、それがバイクの差だったのかはわかりません。アラゴンは期待していたラウンドだったのですが、いちばん難しいウイークになってしまいました」
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2023.9.11
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第9戦フランスラウンドが、9月8日~10日、フランスのマニクール・サーキットで行われた。約6週間のサマーブレイクを終え、2023年シーズンはこのフランスラウンドから後半戦に入る。
岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)は、いいフィーリングで初日を走り出した。しかし、フリープラクティス2でマシントラブルが発生。スロットルボディを交換しなければならない大きなトラブルだったことから、そのセッションをほとんど走行できずに終わる。スーパーポール(予選)ではフリープラクティス2よりもタイムを約2秒縮めたが、フリープラクティス2で走れなかったことが出遅れとなって響き、29番グリッドからレースを迎えることになった。
そんな状況で迎えた土曜日のレース1だったものの、今季のベストレースとなった。岡谷はトラブルの影響を感じさせない走りとレースペースで、少しずつ、しかし確実に順位を上げていき、18位でゴール。今季自己ベストのリザルトを獲得したのである。レース2では他車と接触して転倒。マシンを起こして再びレースに加わり、24位で終えたが、レース1は岡谷にとって自信となるレースになった。
今季のこれまで、マシンと自身の持つスピードが噛み合わない状態で戦いを強いられていた岡谷は、今大会もマシンについて大きな変更が施されたわけではなかった。改善したのはライダー側、つまり岡谷自身だ。サマーブレイク中に日本で腕上がりの手術を受け、また、ペース改善に向けたトレーニングを実施。これらが功を奏した。フィジカル面の不安がなくなり、走りの面でも己の課題を改善したことが、レース1の大幅なポジションアップと18位というリザルトにつながったのである。結果以上に、次戦へとつながる内容のあるレースとなった。
WSSP第10戦アラゴンラウンドは9月22日~24日、スペインのモーターランド・アラゴンで行われる。
・岡谷雄太コメント
「初日の出だしは良かったのですが、フリープラクティス2がマシントラブルで2周しか走れなくて、それがけっこう影響してしまいました。けれど予選でタイムを約2秒上げられて、レース1では今年ベストのレースができました。レース2では攻めた結果、他車と接触して転倒してしまいましたが、走り切ることはできました。今回はサマーブレイク中に受けた腕上がりの手術、日本でのトレーニングが結果につながったと思います。アジャストした乗り方がうまくいき、腕上がりも発症しませんでした。今のバイクで僕ができることはほとんどやりきっているという感じがありますし、バイクさえよければいけるという自信にもなりました。内容としては今年いちばんいいレースウイークだったと思います」
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2023.8.8
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スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第8戦チェコラウンドが、7月28日~30日、チェコのオートドローム・モストで行われた。岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)は、イギリスラウンドで手応えをつかんだマシンのセッティングをチェコラウンドに持ち込んで走り出した。
初日のフリープラクティス2では、セッション序盤から好感触を得て1分37秒中盤のタイムを連発した。しかし、セッション開始10分過ぎ、20コーナーで転倒を喫してしまう。ハイスピードでの転倒だったためにバイクの損傷は激しく、このために岡谷はフリープラクティス2の残り時間を走行できずに終わった。
この転倒を契機に、苦しいレースウイークとなる。修復されたマシンで臨んだスーパーポール(予選)で1分38秒150を記録したが、それはフリープラクティス2の自己ベストタイム、1分37秒567に及ばなかった。岡谷は、このレースウイークを通して、フィーリングが酷いわけではないにもかかわらずタイムが上がらない、という状況に苦しむことになった。
土曜日に行われたレース1は1周目に転倒したマシンからコース上に飛散した液体のために赤旗中断となる。その後、12周に短縮してレースが再開された。岡谷は前戦イタリアラウンドのフリープラクティス2で受けたロングラップ・ペナルティをレース序盤に消化し、25位でゴールした。
日曜日のレース2は、難コンディションでのレースとなる。レース序盤、雨が降ってきたことを知らせるレッドクロスのフラッグが振られ始め、ピットインをしてタイヤ交換を行うことが可能となった。雲行きから天候の悪化を予測した岡谷は、いち早くピットインを決断。スリックタイヤからレインタイヤに交換してレースを続行した。岡谷に続き、多くのライダーがピットイン、タイヤ交換を行っている。しかし天候は予想を裏切って好転し、オートドローム・モストの路面が乾きやすいことも相まって、路面は急速にドライに回復していった。レインタイヤでドライコンディションを走らねばならない厳しい状況ながら、岡谷は21位でチェッカーを受けた。
チェコラウンドを終え、2023年シーズンは約6週間のサマーブレイクに入る。サマーブレイク後、後半戦の初戦となるWSSP第9戦フランスラウンドは、9月8日~10日、フランスのマニクール・サーキットで行われる。
・岡谷雄太コメント
「フリープラクティス2ではいいフィーリングで攻められたのですが転倒してしまい、そこからペースが戻らずに終わってしまいました。フィジカル面では腕上がりの影響があったので、対応を検討しています。レース2に関してはすごく難しいコンディションで、ピットインしたときは転倒しそうなほど厳しい状況でした。僕が1番にピットインをしたのですが、チャンスだと思ったので残念でした。次戦はフィジカル面をより準備万端にして、腕上がりの症状なく順位を維持し、ポイントを獲得できればと思っています」
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2023.7.19
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スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第7戦イタリアラウンドが、7月14日~16日、イタリアのイモラ・サーキットで行われた。前戦イギリスラウンドでマシンのフィーリングを改善してイモラ・サーキットに乗り込んだ岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)だが、金曜日の走行を終えたあとに胃腸炎が悪化していると診断され、土曜日以降を欠場することとなった。
岡谷は次戦、7月28日~30日、チェコのオートドローム・モストで行われるWSSP第8戦チェコラウンドでの復帰を目指す。
2023.7.4
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第6戦イギリスラウンドが、6月30日~7月2日、イギリスのドニントンパーク・サーキットで行われた。ドニントンパーク・サーキットはイギリス第2の都市と言われるバーミンガムから北東に約60kmに位置しており、青々とした草が茂る丘の美しい風景の中にある。2023年のイギリスラウンドは、時折小雨が落ちたかと思えば曇りの合間に青空がのぞき、冷たい風がやや強めに吹く肌寒い週末となった。
前戦エミリア・ロマーニャラウンドではマシンのセッティングが合わず、加えて車体が暴れる現象に悩まされた岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)は、イギリスラウンド金曜日午前中のフリープラクティス1でも同じ症状に苦しむことになった。しかし、ウエットコンディションとなった午後のフリープラクティス2でリヤショックのセッティングを変更したことで、改善の糸口をつかむ。
土曜日のスーパーポール(予選)ではさらにセッティングを詰め、1分32秒530をマークして25番手を獲得した。ただ、レース1は序盤の数周以降に再びマシンの不安定な挙動が発生し、コーナーの立ち上がりでトラクションがかけられないという厳しい状況での戦いを強いられる。完走を危ぶむほど苦しいレースだったが、岡谷は19周を走り切って21位でゴールを果たした。
翌日朝のウオームアップでは、さらにセッティングを変更してマシンのフィーリングを改善。レース2では前半にペースを上げることができなかったものの、終盤の残り2周で自己ベストタイム、1分31秒657を記録して25位でフィニッシュした。
これまでのレースで不安定なマシンの挙動とトラクション不足に悩まされて本来の走りを発揮できずにいた岡谷だったが、イギリスラウンドでは週末を通じてセッティングを模索。マシンのフィーリング改善に注力し、方向性を得たことが大きな収穫となった。確実に次戦へとつながる価値ある内容のレースウイークになった、と言える。
WSSP第7戦イタリアラウンドは7月14日~16日、イタリアのイモラ・サーキットで行われる。
・岡谷雄太コメント
「初日からスーパーポールに向けてリヤショックのセッティングを大きく変えたことでフィーリングがよくなったのですが、レース1ではトラクションがかからない症状が出ました。相当乗りにくい状態で、ほかのライダーはバイクが暴れないのに自分のバイクだけどうしてこんなに暴れるんだろう、という感じでした。走り切れるか心配なくらいだったので、なんとかゴールできてよかったです。日曜日はウオームアップの感触はよかったんですけど、無理をしないと出ないタイムだったので、そのタイムを維持するのは難しいだろうなとは思っていました。レース2の序盤は思ったよりもペースが上がらなかったので、それが今回の一番の反省点です。でも、バイクはよくなったし、自分の乗り方も変えたことでよくなりました。今後に向けたベースが見つかったと思います」
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2023.6.6
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第5戦エミリア・ロマーニャラウンドが、6月2日~4日、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われた。ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリはイタリアの北東部、アドリア海近くに位置するサーキットだ。今大会には7万人以上の観衆やMotoGPに参戦するイタリア人ライダーなどが現地を訪れ、盛り上がりを見せていた。
エミリア・ロマーニャは、岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)にとって、2022年のレース2で2位表彰台を獲得したラウンドである。今大会、WSSPで挑んだ初めてのエミリア・ロマーニャラウンドはチャタリングやアンラッキーに見舞われたレースウイークとなったが、そんな中で岡谷は2レースともに完走を果たし、WSSPでの経験を重ねた。
初日のフリー走行1では、周回を重ねるにつれてチャタリングの症状に悩まされた。エミリア・ロマーニャラウンドに向けて変更されたサスペンションのセッティングが原因だった。また、チームがバイクに施したセッティングと岡谷のペースが噛み合わない、という状況もあった。しかしそれは、岡谷がコース上で記録するラップタイムがチームの想定を上回っていたからこそ起きた齟齬だった。
土曜日に行われたスーパーポールは1分39秒900を記録して26番手。岡谷自身が想定していたタイムよりも1秒ほど遅いもので、初日にセッティングが合わないまま走行を余儀なくされたフリー走行1が、予選タイムに影響した形となった。
迎えたレース1は、好スタートを切って24番手付近につけ、集団でのポジション争いを展開した。しかし7周目以降に再びチャタリングの症状が出たことでバイクを止めることが困難になり、我慢のレースを強いられる。岡谷は苦しいレースを走り切り、20位でゴールを果たした。
レース2は1周目の4コーナーで他ライダーに接触され、避けようのない転倒を喫することになった。幸い岡谷自身に大きなけがはなく、ピットに戻ってバイクを修復するとレースに復帰。不運なレースとなったが、27位で完走した。
WSSP第6戦イギリスラウンドは6月30日~7月2日、イギリスのドニントンパーク・サーキットで行われる。
・岡谷雄太コメント
「フリー走行1はチャタリングによって全く感触がよくなくて、転びそうになるくらいでした。フリー走行2では改善されてやっと攻められるようになったのですが、フリー走行1で何もできなかったので、このレースウイークはそのロスが大きかったですね。レース1ではスタートから7周目くらいまではよかったのですが、そこからチャタリングの症状が出て、バイクが止まらなくなってしまいました。今週末はチャタリングに苦しめられたな、と思います。ただ、そんな中でも、今大会はレース序盤の進め方がよかったし、自分で改善できることはできたと思います。このあとは日本の鈴鹿サーキットで鈴鹿8耐のテストがあります。日本でバイクに乗るトレーニングもできるので、自分のライディングを高め、前半戦の復習をして、7月の連戦に備えていきたいですね」
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2023.5.8
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第4戦カタルーニャラウンドが、スペインのバルセロナ‐カタルーニャ・サーキットで行われた。岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)はこのサーキットで、2020年と2022年にスーパースポーツ300世界選手権(WSSP300)で優勝を飾っている。バルセロナ‐カタルーニャ・サーキットはマドリードに次ぐスペインの大都市、バルセロナ近郊のサーキットで、今年からバルセロナに拠点を置く岡谷にとっては、第2のホームレースとなった。また、カタルーニャラウンドにはロードレース世界選手権に参戦するレース仲間や多数の日本人が応援に駆けつけ、岡谷のレースを後押しした。
カタルーニャラウンドがWSSP参戦2戦目となる岡谷は、WSSPでの経験を重ねながらレースウイークの中でタイムを上げていった。初日のフリー走行1では“トラブル”により走行終了10分前にピットレーン出口付近でマシンを止めてしまう。しかしそれは、チームが想定していたよりも岡谷がいいラップタイムを刻んだがゆえのこと。残り時間10分を走れずにセッションを終えることになったとはいえ、マイナス要素ばかりのトラブル、というわけではなかった。
フリー走行1からフリー走行2へと順調にタイムを上げていった岡谷は、土曜日のスーパーポール(予選)で1分46秒846を記録する。初日フリー走行1の自己ベストタイム、1分48秒372と比較して1.5秒、タイムを縮めたことになる。岡谷は8列目24番グリッドからレースを迎えることになった。
迎えたレース1では、1周目に22番手付近に浮上し、3周目には1分47秒587を記録する。その後は、フルタンク状態で行うロングストレートからのフルブレーキングに適応するため、安定したペースをつかむのにやや時間を要した。しかし、タイヤを温存したことでレース後半にペースを安定させ、22位でゴール。
経験を積んだレース2では、集団でのポジション争いとなった。ライバル同様、レース2の岡谷のレースペースはレース1よりもハイペース。前半は岡谷のねらい通りのペースとなったが、後半は予想外にタイヤの摩耗が早く、ペースをキープすることが難しい状況となって21位でフィニッシュした。訪れる想定外は、岡谷のライディングやレースペースが進化し続けているからこそ直面する、乗り越えるべき壁でもある。前進しているという確かな手ごたえと共に、岡谷は次戦、第5戦イタリアラウンドに挑む。
WSSP第5戦イタリアラウンドは6月2日~4日、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット‐マルコ・シモンチェリで行われる。
・岡谷雄太コメント
「予選では目標タイムを出す事が出来、レースでもレース1よりもレース2といったぐあいに走行ごとにタイムを上げる事が出来ました。満足とまではいかないですが、ポジティブなレースウイークでした。このカタルーニャラウンドでは、レースの進め方をより理解し、フルタンク状態のバイクの操作に適応する事ができました。(前戦の)アッセンではそこまで出来なかったのですが、、今回は次のレースに繋がる事を発見出来たので、しっかり進歩しているな、という手ごたえがあります。今年はバルセロナを拠点としているのですが、今回はすごくリラックスして臨むことが出来ましたし、世界を戦う日本人の仲間がすごくたくさん応援に来てくれました。ホームレースのようで、すごくうれしかったです。」
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2023.4.25
Race Report
スーパースポーツ世界選手権(WSSP)第3戦オランダラウンドがオランダのTTサーキット・アッセンで行われた。2023年シーズン、WSSPにステップアップした岡谷雄太(ProDina Kawasaki Racing/カワサキZX-6R)は、ヨーロッパ開催ラウンドのみに参戦する「ワールドスーパースポーツ・チャレンジ」へのエントリー。開幕戦はオーストラリア、第2戦はインドネシアでの開催だったため、第3戦のオランダラウンドが岡谷にとっての2023年シーズン初戦となった。
開催地のTTサーキット・アッセンはオランダの北東部に位置し、「Cathedral of Speed(ロードレースの大聖堂)」と呼ばれるサーキットである。その歴史は長く、1925年の公道レース「ダッチTT」から始まり、ロードレース世界選手権(MotoGP)では1949年の初年度から2023年シーズンの現在に至るまで開催されている、ただ一つのサーキットだ。これまでに何度もコース改修が行われており、現在は全長4,542m、右コーナー12、左コーナー6というレイアウトの高速サーキットである。2022年シーズン、スーパースポーツ300世界選手権(WSSP300)に参戦していた岡谷は、このオランダラウンドのレース2で3位表彰台を獲得している。
WSSP挑戦のスタートは、岡谷にとって厳しいものとなった。状況を困難にした大きな要因の一つは、金曜日午後のフリー走行2に起こったエンジントラブルである。このトラブルによって、岡谷はフリー走行2をほとんど走ることができなかった。
WSSPのフリー走行は、金曜日に行われる2回のみ。フリー走行は翌日から行われるスーパーポール(予選)とレースに向け、マシンを成熟させる重要なセッションである。加えてWSSPルーキーである岡谷にとっては、1分、1秒でも長く走りたい状況。フリー走行2ではタイムを更新できる手ごたえがあっただけに、手痛いトラブルとなった。
岡谷はスーパーポールで28番手となり、10列目からレースに挑んだ。土曜日のレース1では前のライダーの転倒もあり、23位でゴール。難しい戦いとなったレース1を踏まえ、日曜日のレース2に向けてセッティングを大きく変更した。
これが奏功し、岡谷は日曜日朝のウォームアップでこれまでのタイムを大幅に更新する。さらにセッティングを詰めて迎えたレース2では、4周目にこの週末での自己ベストとなる1分40秒239を記録した。レース1よりも速いラップタイムを刻みながら、23番手争いを展開した。しかしレース中盤、右腕の腕上がりの症状が岡谷を襲う。岡谷はこの症状によってアッセンの流れるような高速コーナーの切り返しに苦しみながら、それでも18周を走り切って23位でフィニッシュを果たした。
WSSP初戦という状況に初日のエンジントラブルも加わり、岡谷にとってひときわ苦しい週末だった。ただ、目標としていたポイント獲得(15位以内)はならなかったものの、初日から確実にラップタイムを縮め、二つのレースを完走したことは、岡谷にとって大きな収穫となった。
・岡谷雄太コメント
「僕にとってはWSSP初戦でチームとも初レースという状況だったので、やることが多く、走り始めはベースのセッティングがまだ定まっていない状態でした。それに加えてフリー走行2のときにエンジントラブルで止まってしまって、そこで大きく遅れてしまいました。最善は尽くせたとはいえ、万全ではない中での予選だったので厳しい順位となりました。
レースに関しては、レース1は厳しかったのですが、レース2ではセッティングに関しても走りの面に関してもよくなりました。全体的にはすごく収穫の多いレースだったと思います。次戦カタルーニャはこれまでテストをしてきたヘレス、バレンシアの経験を使えるサーキットだと思うので、もう少しいいポジションで終えられると思います。目標はもちろん、ポイント獲得です」
Result / WorldSBK web site SUPERPOLE RACE1 RACE2
2022.10.21
RELEASE
・岡谷雄太 コメント
Prodina Racing Teamに加入することができて本当にうれしく思います。上のカテゴリーで、カワサキZX-6Rに乗れることにワクワクしています。WSS300で好成績を収めてきたので、次のステップに進むのに適切な時期だと思います。
日本では600ccのバイクでトレーニングすることが多く、今年は鈴鹿8耐でカワサキNinja ZX-10RRを駆ってSSTクラスで優勝しました。だからすでに何度か大排気量のバイクで経験をしています。カワサキファミリーの一員であり続けられることを光栄に思い、嬉しく思います。彼らのサポートに感謝しています。
■2023年度 岡谷雄太 レース活動体制
・参戦レース :FIM SUPERBIKE WORLD CHAMPIONSHIP
・クラス :World Supersport
・チーム :ProDina Racing Team
・参戦マシン :Kawasaki Ninja ZX-6R
End of Article